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腸の異常によってタンパク質を十分に吸収できなくなると低蛋白血症や低アルブミン血症を引き起こします。そうした病気の総称が蛋白漏出性腸症です。
原因によって、慢性腸症(主にIBD)、腸リンパ管拡張症、消化管型リンパ腫の3つに大きく分類されます。
慢性の下痢や嘔吐といった消化器症状を示す場合もありますが、お腹や胸に水がたまる腹水や胸水、またはむくみという症状で見つかる場合もあります。
腸からタンパク質が十分吸収できないために身体は痩せていきますが、腹水や胸水の重さによって体重は増加することもあります。
血液検査で低タンパク血症や低アルブミン血症が見られた場合、腸以外の原因を除外する検査を行います。
これらに問題がなく、出血や、皮膚の大きな傷など低アルブミン血症を引き起こすような原因が他になければ、腸の吸収不全があると判断されます。
X線検査では、腹水や胸水の有無や腫瘍がないかを確認します。
腹水や胸水の貯留があれば、一部を抜去して成分の検査をします。
腹部エコー検査では、腸に腫瘍性の病変がないか、腸の構造に変化がないかなどをみます。
内視鏡検査では、消化管の状態を内側から観察したり、消化管の組織検査をすることができます。
内視鏡検査による組織検査で判定できない場合、開腹手術によって腸の筋層まで切除する全層生検が必要になる場合もあります。
生検で得られた組織がリンパ腫かどうかを調べるため、リンパ球の腫瘍性増殖がないかを解析するクローナリティ検査を追加で行うこともあります。
食事反応性腸症:アレルギー対応フード、低脂肪食などを選択します。
抗菌薬反応性腸症:抗菌薬によって有害な腸内細菌の増殖を抑制します。
免疫抑制薬反応性腸症ステロイドと免疫抑制剤を併用することもあります。
以上のような治療を組み合わせたり、補助療法として、プロバイオティクス、プレバイオティクスといった腸内細菌を良い状態にする製剤や、腸の吸収不全によって不足したビタミンやミネラルを補う補助治療もあります。
消化管型リンパ腫の場合は、抗ガン剤の適応になりますが、孤立した腫瘤であれば切除することもあります。